大きなお友達用童話
『右手くんと左手ちゃん』
左手ちゃん
「右手くん、いつもご苦労様」
「いつもご飯のとき、お箸を持ってくれるし、
手紙を書くときは鉛筆を持って書いてくれる。
ボールをつかむときも、いつも、
右手くんが、取ってくれるよね」
右手くん
「うん。たしかに。」
「言われてみれば、
左手ちゃんの言う通り、
僕は、お箸をつかんだり、
鉛筆を持ったり、
ボールをつかんだり、
いろいろな仕事をしているね」
「今気が付いたけど、
割と忙しいかったね、僕」
左手ちゃん
「うん。そうだね。
いつも、たくさんの仕事を任せてしまって
ごめんなさい。
左手の私は、何もできない役立たずで。。。」
右手くん
「いいや、そんなことないよ!」
「左手ちゃんだって、いろいろ、
サポートしてくれてるじゃん!」
左手ちゃん
「そ、そうかなぁ。。。
自分なんか、何にもできない気がするけど。。。」
右手くん
「ほら、たとえば、
ご飯を食べるとき、
お箸をつかむのは、
たしかに僕の仕事かもしれないけれど、
左手ちゃんは、僕が気が付かないところで、
お茶碗をちゃんとホールドしててくれてるじゃん!」
右手くん
「それにさ!
鉛筆をもって手紙を書くとき、
左手ちゃんは、机に手を置いて、
僕の手がぶれないように、
ちゃんと支えてくれているじゃん!」
右手くん
「それにさ!
ボールを投げるとき、
ボールを受けるとき、
僕は体を張って、
ボールに向かうえれども、
その裏で、
左手ちゃんは、僕が転ばないように、
ちゃんと『受け』の体制を、
取ってくれてるじゃん!」
左手ちゃん
「た、確かにそうかもしれないけれど、、、
そ、そんなの大したことじゃないよ。
右手くんの活躍からしたら、
大したことじゃないよ!自分なんて。」
右手くん
「いいやそれは違うよ。
もし左手ちゃんがいなかったら、
僕は、いろいろな動作をするのが、
今よりも、もっともっと
大変なはずだよ!
きっと、僕一人じゃ、
うまくいかないさ」
左手ちゃん
「そ、そうかな。
なんか、右手くんに
そんなことを言ってもらえると、
私うれしい!
私でも、役に立ってるのね!
とてもうれしい!」
大きなお友達用童話
『ベース君、ギター君』
ベース君
「なあ、ギター君、
今日のコンサートも
楽しかったね!」
ギター君
「うん、そーだね!ベース君!
もう、楽しくて楽しくて、
僕もう、はじけすぎちゃったよ!」
ベース君
「うん、そうだね。
ギター君のソロパート、
すっごいかっこよかったよ!」
ギター君
「え?そ、そうかな!
そんなこと言ってもらえると、
嬉しいよ!
本当に僕、ギターに生まれて良かったよ!」
ベース君
「それにくらべて、
僕ったらさ、
いつもサポートばっかりで。
僕はさ、君みたいに、
目立つような存在じゃないからさ、
せめて、精いっぱい、
ビートを刻むことしか、
できないんだ。。。」
ギター君
「何言ってるのさ!
君だって、すっごいがんばってるじゃないか!
ベース君が低音を刻んでくれるから、
音楽全体が、まとまって、
すべてが包み込まれて、
統一感がある感じになるよ!」
ベース君
「う、うん。
そーだね。。。
でもな、やっぱ、
ギター君にはかなわないよ。
君、もういるだけでカッコイイ存在だもん」
ギター君
「まあ、ギターがかっこいいのは、
誰もが認める事実かもね。
でもさ、そんなに卑屈になるなよ!
君は君の良さを引き出していけばいいのさ!」
ベース君
「うん。。
でも、もとからカッコイイ君に、
そんなこと言われても、
なんか、見下されているような感じで、、、
きっと君には、モテない僕の気持ちなんて、
わからないよ。。。」
ギター君
「そんなことないよ。
そんなに卑屈になるなって。
君は君でかっこいいって。」
ベース君
「そうは言うけどさ、
世界中のギタリストの数より
ベーシストの数の方が、
絶対少ないと思うんだ僕は。
だってギターの方が、
明らかにかっこいいし、
ベースなんて、あんまり
目立たないし。。。」
ギター君
「君は一体、どうしたいんだ?
そんなに卑屈になったって、
何も変わらないよ。
僕はギターに生まれたから、
ギターのことしか正直わからない。
ベース君の気持ちは、
深くまでは、わからないよ、
それは仕方がないことだよ、
だって僕、ギターだもん。」
ベース君
「そうだね。その通りだ。
君の言うとおりだ。
卑屈になってしまってゴメンよ。
僕、本当は、かっこよくなりたいんだ。
モテたいんだ。
もっとチヤホヤされたいんだ。
そう、それが本音さ!」
ギター君
「そうか!
よく言ってくれたね!
君、自分の本音がわかってるんだ!
じゃあ、君は、君の良さを生かして、
輝けばいいんだよ!」
ベース君
「僕なんかに、
良いところなんて、あるのかな?」
ギター君
「あたりまえじゃないか!
ベースにできて、
ギターにはできないことが、
たくさんあるじゃないか!」
ベース君
「う、うん、まあ、
たしかに。。。
でも、それ、そんなに
カッコいいと、
自分では思ってなかったけどな。。。」
ギター君
「いいや、君、それは違うよ。
君にできて、僕にできない技を
使っているジャンルをやればいいじゃないか!」
ベース君
「!?」
ギター君
「ほら、うちのバンド、
ロックでしょ?
だからギターの僕が輝いてしまうのは
仕方のないことなんだ。」
ギター君
「でもね、世の中には、
ベースである君が輝ける場所だって
ちゃんと用意されているんだ!」
ギター君
「たとえばさ、ロックならさ、
メロディアスなソロは、ギターである僕の方が得意だけど、
ベース君は、ジャズとかファンクとか、
もっとグルービィなサウンドを刻む、
そんなジャンルに行けば、
僕なんかより、
君の方が、チヤホヤされるじゃん!」
ベース君
「!?」
ベース君
「ギター君!
ありがとう!
なんか、ありがとう!
僕、見てる世界が狭かった!」
ベース君
「自分のできないところばかり見てて、
僕自身の可能性について、
まったく見ようとはしなかった!」
ベース君
「僕、変わるよ!
僕も、君みたいに、
かっこよくなる!
僕はグルーヴィな男になるよ!」
ギター君
「ああ!そうしたほうがいい!
それが君のためなら。」
ギター君
「さあ、行っておいで。
君がいる世界はここじゃない。
君が輝ける場所へ、
君自身の意志で、行くんだ。」
ベース君
「ギター君!
ありがとう!
今まで本当に、ありがとう!
今夜の話はきっと忘れない。
僕は、行くよ!
僕が輝ける世界へ!」
大きなお友達用童話
『ミカンちゃんとミカンの皮の白い部分』
ミカンちゃん
「私はミカン。栄養たっぷり、
ビタミン豊富、
冬のこたつのお供にかかせない、
そう、それが私ミカン。」
ミカンの皮の白い部分
「ああ、今日も取られる。
はがされる。
爪ではがされ、
ポイ捨てされる。
ああ、今日も切ない。。。」
ミカンちゃん
「私、今日も
世界中の人々に愛される。
手軽でお手頃、
甘くておいしい、
私はミカン。」
ミカンの皮の白い部分
「あ、はがされた。。。
あ、あああーーー
今日もお別れの時がきたわー。。。
さよなら、ミカンちゃーん!
来世で会いましょう。。。悲」
ミカンちゃん
「ミカンの皮の白い部分よ、
今までご苦労様。
あなた、また捨てられちゃったわね。
かわいそうに。
また来世でー!」
ミカンの皮の白い部分
「あー、今世も、
いいことなかったなぁ。。。」
「私って、つまり、
いる意味ある?」
「私の存在意義って何?」
ミカンの皮の白い部分
「なんか、もう、
捨てられ慣れてしまって、
今さらもう、涙も悲しみもないわ。
もう、ただ、無常を感じ、
今世にさようなら。。
ああ、人生とはいったい。。。」
ミカンちゃん
「ミカンの皮の白い部分よ。
あなたがどれだけ、
はがされ、むしり取られ、
ゴミ箱に捨てられようと、
私はあなたのご恩を忘れないわ。」
ミカンちゃん
「あなた、私が誰かに食べられるまでの間、
皮の白い部分であるあなたは、私を全体的に、
包み込み、私を守ってくれている」
ミカンちゃん
「あなたが私を包み込んでいる間、
私は、甘くておいしい完熟のミカンへと、
安心して成長していけるの。」
ミカンちゃん
「だから、ミカンの皮の白い部分よ。
あなたが、世界中の人々から
捨てられ忘れ去られようと、
これだけは覚えておいてほしいの。
私だけは、あなたのこと知ってる。
私だけは、あなたの存在に気づいている。
あなたは、私にとって必要なもの。
あなたがいなければ、私もいない。」
ミカンちゃん
「さようなら、
ミカンの皮の白い部分よ。」
「そしてまた、来世で会いましょう。」
「来世ではきっと、
あなたの有効活用方法を
人類が見出すわ。」
ミカンちゃん
「その時、
あなたは、きっと、
私よりも輝けるはずでしょう。
だから、そんなに悲しまないでね。
さあ、また来世で。
あなたが光り輝ける来世で。」
ミカンの皮の白い部分
「ミカンちゃーん!
ありがとー!!
私もミカンちゃんのこと、
忘れないわー!
またいつか、会いましょう!
来世でー!」
-おわり-
あなたのコンプレックス、
あなたが隠したい部分、
あなたが認めていないあなたのダメな部分、
あなたがダメな部分と思っている部分、
あなたの得意なこと、
あなたの素晴らしい部分、
あなたがみんなに自慢したいあなたの長所、
あなたの良い部分と
あなたの悪い部分。
これらは、2つで1つなの。
あなたが捨て去ろうとしている片方、
あなたが隠そうとしている片方、
あなたがゴミだと思い込んでいる片方、
それが、
ダイヤモンドだということに
気づく人になるのか、
それとも、
分裂し、分離し、
片方だけを愛し、
半分だけのあなたになるのか。。。
2つが仲良しさんになったとき、
あなたが覚醒し始める。。。